水中ウ◎コ

前日の晩に飲み過ぎたせいか、深い眠りから目が覚めたのが、ブリーフィング時間の5分前ってのが間違いのもとでした。
いつもならルーチンワークである”朝のおつとめ”、いわゆるトイレを済ませてからダイビングに臨むワタクシですが、この日は時間がなかったためこの課程を端折ってしまったのです。
もし万が一ダイビングに尿意もしくは便意を催しても、「まあ、45分間のダイビング中だけガマンすりゃいいんだから・・・」と軽く考えていたワタクシはイントラとしてまだまだということでしょうか。

で、ブリーフィング後に向かったのはラスドゥマディバル。エントリー早々にレアもののフルムーンリーフゴビーをゲットし、良い感じにスタートしました。フルムーンのつぎは、早朝ということでハンマーヘッドシャークを探しに深場へ・・・。なのですが、深場でハンマーを探すこと数分、あの「差し込み」がやってきたのです。
しばらくは、オナラでやり過ごしていたのですが、とうとう、そのオナラでやりすごせないビッグウエーブがやってまいりました。フィンキックをするたび、蝶野のDDTを彷彿させる鋭い痛みが、数秒間隔で腹部をギシギシと締め付けます。フィンキックをしようとすると例の「ブツ」が”オハヨウ〜”とばかりにワタクシの臀部より飛び出してきそうです。う〜〜〜、どうしよう〜〜〜〜〜

一緒に泳いでいたスタッフのノリコによると、その時のワタクシの動きは明らかに挙動不審だったそうです。フィンを動かさず、中層にほとんど静止した状態はさながら水中前衛芸術家。後ろについていたゲストもさぞかし困ったことでしょう。

まあでも、そこは経験だけは豊富なワタクシのこと、まずは冷静になり、クエストに「ウ◎コがしたい」と書いたものをノリコだけにコッソリ見せ、その後のガイドをノリコにまかせたのです。ノリコとともに深場に消えていくゲストを見送りつつ、ワタクシはさっそくウエットスーツを脱ぎはじめました。ウエットスーツを脱ぐあいだも、お腹の鼓動は高まっていきます。やはり焦っていたのでしょうか、腕にダイブコンピューターを装着したままスーツを脱ごうとしたりしてゴソゴソやっている間に、何と目の前に別のダイバーグループが現れました。
数人のヨーロピアンゲストを連れた、その現地のガイドさん・・・ハテ、どこかで見たことが・・・と考えているうちに、向こうから大仰な仕草で握手を求めてきたのです。丁寧なことに、マスクまで外して顔を見せてくれました。マスクを外したその顔は・・・、ああA君じゃないの。ついこの前まで一緒に潜っていたモルディブ人ガイドさんです。「ヤアヤア久しぶり!ハンマー見た??」って感じで挨拶を交わしたワタクシですが、内心では早く消えてくれと念じ続けておりました。
なんせ、友人と出会ったからといってウ◎コは容赦してくれません。握手でブルブルするたび、お腹の方もブルブルしています。極度の緊張状態下での友人再会となりました。
まあ、それも何とかやり過ごし(A君が連れていたヨーロッパ人ゲストは、もろ肌脱いだ異様な出で立ちのワタクシに怪訝な視線をバシバシ送ってきましたが)、周りに誰もいないことを確認して、スーツ脱いで、水着も脱いで、お尻出して・・・やっと体勢が整いました。「さあどうぞ!!!」とばかりに下腹に力を入れて・・・みたのですが、何と、先ほどまで荒れ狂っていたモノが出てきません。どうやら、中層に浮いている状態ではウ◎コが出にくい体勢のようなのです。足の下は深度600m、確かに人間、こんな状況でウ◎コすることはほとんどないでしょう。
出ないことは出ないのですが、お腹の差し込みは依然続いております。荒れ狂うお腹をかかえたワタクシは、リーフまで泳いで、地に足がつく状態でウ◎コを決めようと決断いたしました。リーフまでの距離はおよそ40m。その40mをバターン死の行進さながらの様子でフラフラと泳ぎ切り、人目が避けられる砂地を探して、やっとのことでウ◎コの排出に成功したのは、最初の差し込みがきてからおよそ15分後のことでした。

ですが、ここで悲劇が発生です。何と、排出されたウ◎コが、下に落ちていかずに、ワタクシの体にまとわりつくように舞い始めたのです。人目が避けられる場所を選んで行為をおこなったため、潮がほとんど流れていない地形だったのが最大の敗因でした。例えるなら、洗濯機の渦の真ん中に立っている状態で、洗濯物のかわりにウ◎コがグルグル回っているようなものです。いや〜、これには参りました。ハイ。

で、最後に水中ウ◎コのポイントを・・・
・地に足がつく場所を選ぶ
・水の動きのある場所を選ぶ
・というか、ダイビング前にはしっかりトイレに行っておく