ミスマッチNO1

雨期から乾期への過渡期にあたるこの時期、サファリボートの各ガイドの頭を悩ませるもののひとつに、マンタがどこに出るのか?ということがあります。
大まかに言うと4月から11月頃までの雨期はマーレ環礁などの東側に、12月から3月までの乾期にはアリ環礁の西側に出るというのがモルディブマンタの一般的な出現パターン。で、それぞれの季節の変わり目には、マンタが移動するせいかどちらのマンタポイントでもマンタが見られないというちょっとばかり難しい現象がおきるのです。
で、先週のツアーがその難しい状況にドンピシャはまってしまったのです。
アリ環礁西側のランガリマディバルで2ダイブして出現マンタは1枚(しかも、マンタを見ることができたのは約半数のゲスト)、他のポイントでもマンタの影すらもみることができないまま訪れたツアー5日目、背水の陣で迎えた北マーレ環礁はランカンリーフでのダイブ。ここでマンタを外すと、かなり厳しいマンタ状況になるという強迫観念にも似た気分でエントリーしてみると・・・、そこはスッコーンと抜けたブルーの海でした。その瞬間、私のレギュレーター越しに漏れる盛大なため息。
プランクトンイーターのマンタたちにとって、プランクトンの少ない透明度の良い海というのは鬼門なのです。新宿2丁目に正真正銘の女性が少ないように、透明度の良い海にはマンタが少ないのです。
正直言って、エントリーした瞬間にマンタのことは諦めました。こりゃダメだと。
予想どおり、クリーニングステーションにはマンタ不在。マンタのことなどハナから諦めて、クリーニングステーション下にひっそり暮らしているゴシキエビなどをゲストに見せておりました。
・・・と、遠くから聞こえるシェーカーの音。ふと音の方向を見てみると、嗚呼、何とマンタが深場を横切っていくではありませんか。透明度20mオーバーの海とマンタ・・・モルディブではほとんどありえない組み合わせです。
その後、もっと驚いたことにクリーニングステーション上にマンタが現れ、クリーニングを始めたのです。これは圧巻でした。何せ城みちるが出てきそうなクリアブルーの海で、マンタをかぶりつきで見ることができたのですから。
ダイバーに横腹をさらしながらマンタがクリーニングしていたのは10分間ほど。その10分間はホント至福の時でした。
楽しかった〜。今週もう一回起きないかな、このミスマッチ。