雑種orハイブリッド

maldives2004-10-01

犬・猫の世界では、雑種というと血統面でのハンデからショップでの販売がほとんどありませんよね。でもその反面、「頭が良い」、「丈夫だ」などなど、血が混ざることによってのプラス面が強調されることも少なくありません。人間なんかだと、ハーフには美形が多いというのが通り相場になっているくらいですし。
さて、これが魚の世界になると、この「雑種」が「ハイブリッド」と呼ばれ、珍重されることになるから面白いですね。まあ、もちろん、魚の場合の雑種−交雑種−は犬猫と違い、生物学上の種の枠を超えたものでありますから、レア度からいったら比較になりませんが。
さて、本日ご紹介のこのハタタテダイ然とした子、実はかなりのレア度を誇るハイブリッドなのです。まあ、この見た目の地味さからすると、「ハイブリッド」というよりも「雑種」と記した方がしっくりきそうですね。こいつはおそらく、インディアンバナーフィッシュとオニハタタテダイの交雑種だと思われます。ちなみに、この写真には写っていませんが、この個体と一緒にペアを組んでいたのはインディアンバナーフィッシュでした。
で、この交雑種がどれくらいレアなのか、ということですが、「在モルディブ10年を越えるワタクシが初めて見た」と書けば多少はレア度が分かるでしょうか。(←なんだかエラソーですね)この個体を見つけたのはゲストと一緒にいたときで、残念ながらワタクシはカメラ無し。黙って通り過ぎれば、ゲストにはただの地味なハタタテダイとしか写らず、写真を撮ってもらえないことは120%判然としていたので、ジンベエが出たときなみにシェーカーをラッコ鳴らしし、しかもクエストに「激レアっす」と書いて、半分無理矢理に撮ってもらった写真がこれです。
いやしかし、ホント、キタナイ・・・いや地味な体色ですよね。顔つきだけはインディアンバナーフィッシュの血が濃いのか、可愛らしいつくりをしていますが、体は何とも言いようのないビミョーな配色をしてますね。
ワタクシの乏しい知識によれば、このような交雑種には生殖能力が無いことがほとんどで、このビミョーなカラーリングは次代に受け継がれないことになるはずです。まさに一代限りの期間限定カラー。思えば、ちょっと寂しい、悲しい存在ではありますね。唯一の救いは、インディアンバナーフィッシュの伴侶がいることでしょうか。

この子は、当社の定番ダイビングスポットで発見いたしました。今後もずっと、この一代限りの子の行く末を見守っていきたいとおもっております。(熱帯漁業界に詳しい方、この手の雑種にはいくらくらいの値がつくかご存じでしたらお知らせください。値段によっては、ワタクシが網片手に・・・)

最後になりましたが、写真をご提供いただいた南さん、ありがとうございました!大感謝です!!!